メディカルデータサイエンス

Medical Data Science Research

メディカルデータサイエンス研究

当研究所創立から38年以上にわたって蓄積・保管された膨大な医療データを、機械学習や統計解析を用いて統計的・客観的に分析し、分子整合栄養学のさらなる発展と実用化を進めています。

機械学習

今まで蓄積した検査データを用いて、さまざまな状況において栄養素の実用化を目指して2022年から機械学習の研究を開始いたしました。

検査データの機械学習・AI解析

当研究所には、今まで蓄積してきた膨大な検査データや問診データが保管されています。それらをAI技術や最近大きな話題となっている「機械学習」を用いて分析しています。機械学習とは、大量のデータを解析することで、その中に規則性や関係性を見つけ出す手法のことです。
こうした機械学習を用いることで、人間では気づかない大量のデータの中に埋もれた法則性を見つけ出すことが可能となります。
それらをAI技術や統計解析を用いて統計的・客観的に分析します。

今後の実用化に向けて・・・

身体情報、病歴、症状等の問診データと検査データとの因果関係を分析し栄養素の有用性の証明及び潜在的な病態の予測等を行うことを目的としています。

統計解析

今まで蓄積した36万件以上もの検査データを統計的に解析し、各種疾患における検査データと栄養素との相関性について実証することを目的に研究を行っています。

アスリートにおける短鎖脂肪酸(SCFA)に関する統計解析

大腸内の腸内細菌が難消化性食物繊維を発酵することで生成される短鎖脂肪酸が宿主に供給され、これらの働きによって宿主に良い影響をもたらすことで注目を集めています。しかし短鎖脂肪酸と宿主との関わりに注目した研究の多くは実験動物を用いた基礎研究が主であり、ヒトでの知見は少ないことから、糞便中短鎖脂肪酸量と検査対象者の身体所見および消化器症状・生活習慣項目との関連を統計学的に解析しました。
その結果、アスリートの栄養代謝と関連する生化学項目が競技パフォーマンスに影響を及ぼすことを見出しました。また、オリンピック出場経験をもつアスリートに対しての分子栄養学的アプローチは主観的疲労度やパフォーマンスに対して改善がみられました。このことは、体内の栄養状態を分子栄養学的に診断し、それを改善することでアスリート特有の疾病予防やパフォーマンス向上に繋がる可能性を示唆しています。この点において、栄養素吸収の場である腸内環境は極めて重要な役割を果たす。しかも、腸内環境を左右する腸内細菌は、消化吸収だけでなく、免疫機能、エネルギー代謝、ビタミン類の合成、そして腸脳相関と言われるように精神状態にまで影響を与えることが示唆されています。そこで我々は、腸内細菌から生成される短鎖脂肪酸に着目し、それらと身体所見や臨床症状との関連性を見出すことを目的として本研究を遂行しています。

今後の実用化に向けて・・・

今後は、目的変数をSCFAs、説明変数を身体所見とする重回帰分析を行い、SCFAs量と相関する身体因子を特定する予定です。そしてその身体因子から生活習慣項目によるバイアスを傾向スコアマッチング法により除くことにより、より正確に身体所見と糞便中短鎖脂肪酸との関連を見出したいと考えています。